久々にマレーナを観ました。初めて観たのは2003年くらいだったと思います。第二次世界大戦下のイタリアの若い新妻が辿った悲劇。結婚数週間で夫は出征、戦死の報せ。マレーナは未亡人になります。
美しすぎる彼女への羨望と嫉妬は中傷に変わり、告げ口によって教師の父との断絶を招来ます。父親は空爆で亡くなり、一人残されます。
一人で生きていく彼女のどうしようもなさは誰からも理解されず、生きる為の日々も美しさ故に街中の嫉妬と悪意に傷めつけられます。
敗戦後、女たちの彼女への酷いリンチという形で吹き出しますが、男たちは唯眺めているだけ。誰も止めるどころか、上着をかけてあげる様な思いやりもありません。
彼女は絶望したと思います。マレーナに密かに憧れ見守る無力な子どものニノだけが、街を去る彼女を見送り、誰も居ない家に戻って来た夫に彼女の真実を告げます。
夫は彼女とともに一年後街に戻って来ます。二人の姿を見た街の人たちも、最後は何事もなかった様に日常の日々に戻っていくのです。ニノだけが、彼女のことを生涯忘れないのでしょう。
この映画を観るたびに人の羨望と嫉妬の嵐には、知性がなければと思います。
人は、羨望と嫉妬で被害者意識の加害者に変わることに無自覚です。集団になって、自分の責任を忘れます。
そんな哀しい習性に警鐘を鳴らしながら、人の強さや祈りの力を呼び起こしてくれる映画だと思います。
ノスタルジックな海辺の町を舞台に、哀しく愚かな人間の優しさと逞しさを少年のまなざしを通して描き出されています。
日本語のおかしい点は、お許しください。